扶養控除等(異動)申告書とは?書き方・記入例・提出方法を徹底解説【2024年最新版】
年末調整や確定申告を行う上で非常に重要な書類の一つ、それが扶養控除等(異動)申告書です。この書類は、所得税や住民税の計算において、扶養控除を受けるために必要なものです。しかし、初めて目にする方にとっては、書き方や提出方法など、不明な点も多いかもしれません。
この記事では、扶養控除等(異動)申告書について、その概要から書き方、提出方法、注意点、さらには異動があった場合の対応まで、SEOに強く、読者の疑問を解決できるように徹底的に解説します。
1. 扶養控除等(異動)申告書とは?
1.1 扶養控除申告書の役割
扶養控除申告書は、正式名称を「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」といい、給与所得者が扶養控除を受けるために勤務先に提出する書類です。この申告書を提出することで、扶養親族がいる場合に所得税や住民税が軽減されます。
具体的には、配偶者控除、扶養親族控除、障害者控除、寡婦(寡夫)控除、ひとり親控除などが、この申告書を通じて適用されます。これらの控除は、納税者の生活状況を考慮し、税負担を軽減するための制度です。
1.2 異動申告書とは?
異動申告書という言葉が名称に含まれているのは、扶養親族の状況や各種控除の適用に変更があった場合に、その異動内容を申告する必要があるためです。例えば、年の中途で扶養親族が増えた、あるいは減った場合、控除の種類が変更になった場合などに、この申告書で異動内容を勤務先に伝えることになります。
2. 扶養控除等(異動)申告書が必要な人
原則として、給与所得者で、以下のいずれかに該当する人は扶養控除等(異動)申告書の提出が必要です。
- 扶養親族がいる人:配偶者、子、父母、兄弟姉妹などで、一定の要件を満たす人を扶養している場合。
- 障害者控除、寡婦(寡夫)控除、ひとり親控除を受けたい人:自身がこれらの控除の対象となる場合。
- 前年の所得から変更があった人:扶養親族の増減、控除の種類に変更があった場合。
通常、会社員や公務員など、給与所得を得ている方は、年末調整の際に勤務先からこの申告書の提出を求められます。
3. 扶養控除等(異動)申告書の書き方【記入例付き】
扶養控除等(異動)申告書は、いくつかの項目に分かれています。ここでは、各項目の書き方を記入例とともに詳しく解説します。(以下は令和6年分の様式を想定しています。最新の様式は国税庁のウェブサイトでご確認ください。)
3.1 申告書の種類と提出先
まず、申告書の最上部に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」と記載されていることを確認します。提出先は、通常、勤務先(給与の支払い者)となります。
3.2 あなたの情報(氏名・住所など)
申告書の上部には、あなた自身の情報を記入する欄があります。
- 氏名:漢字とフリガナで正確に記入します。
- 個人番号(マイナンバー):マイナンバーカードまたは通知カードを確認して正確に記入します。マイナンバーの記載は、税務署への提出書類に必要となります。勤務先への提出のみの場合は、記載不要とされる場合もありますので、勤務先の指示に従ってください。
- 住所または居所:住民票に記載されている住所を記入します。
- 給与の支払者の名称・法人番号:勤務先から指示がある場合はそれに従い、通常は勤務先の会社名と法人番号を記入します。
- 給与の支払を受ける者(あなた自身)の生年月日:西暦で記入します。
3.3 控除対象配偶者
配偶者がいる場合は、この欄に配偶者の情報を記入します。控除対象配偶者となるには、配偶者の合計所得金額が48万円以下(給与所得のみの場合は年収103万円以下)などの要件を満たす必要があります。
- 氏名:配偶者の氏名を漢字とフリガナで記入します。
- 個人番号(マイナンバー):配偶者のマイナンバーを記入します。
- 生年月日:配偶者の生年月日を西暦で記入します。
- 住所または居所:配偶者の住所を記入します。(あなたと同一住所の場合は「同上」と記載可)
- 所得の見積額:配偶者の年間の合計所得金額の見積額を記入します。
配偶者控除と配偶者特別控除
配偶者控除と配偶者特別控除は、配偶者の所得金額に応じて適用される控除です。配偶者の所得が一定額を超えると、配偶者控除が適用されなくなる代わりに、配偶者特別控除が適用される場合があります。詳細な所得金額の区分については、国税庁のウェブサイトや税務署にご確認ください。
3.4 控除対象扶養親族
16歳以上の扶養親族(子、父母、兄弟姉妹など)がいる場合は、この欄に情報を記入します。扶養親族となるには、親族の年間合計所得金額が48万円以下(給与所得のみの場合は年収103万円以下)などの要件を満たす必要があります。
- 氏名:扶養親族の氏名を漢字とフリガナで記入します。
- 個人番号(マイナンバー):扶養親族のマイナンバーを記入します。
- 続柄:あなたから見た続柄(子、父、母、兄弟など)を記入します。
- 生年月日:扶養親族の生年月日を西暦で記入します。
- 住所または居所:扶養親族の住所を記入します。(あなたと同一住所の場合は「同上」と記載可)
- 所得の見積額:扶養親族の年間の合計所得金額の見積額を記入します。
- 特定扶養親族など:該当する場合はチェックを入れます。(特定扶養親族とは、19歳以上23歳未満の扶養親族のことです。)
3.5 障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生
あなた自身が障害者、寡婦、ひとり親、または勤労学生に該当する場合は、該当する欄にチェックを入れます。それぞれの定義と要件は以下の通りです。
- 障害者:身体障害者手帳の交付を受けている人、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人、知的障害者など。
- 特別障害者:障害者のうち、特に重度の障害がある人。
- 寡婦:夫と死別または離婚した後、再婚していない女性で、一定の要件を満たす人。(所得要件などあり)
- ひとり親:婚姻歴や性別に関わらず、生計を同じくする子がいる単身者で、一定の要件を満たす人。(所得要件などあり)
- 勤労学生:特定の学校に在学しており、勤労による所得がある人で、一定の所得要件を満たす人。
それぞれの控除を受けるためには、詳細な要件を満たす必要があります。詳しくは税務署や国税庁のウェブサイトでご確認ください。
3.6 他の所得者が控除を受ける扶養親族等
他の所得者(例えば、配偶者がいる場合は配偶者、親族がいる場合は親など)が、あなたを扶養親族として控除を受けている場合は、この欄に情報を記入します。通常は空欄で問題ありません。
3.7 住民税に関する事項
住民税に関する事項として、以下の項目があります。
- 退職手当等に対する住民税の徴収猶予:該当する場合はチェックを入れます。
- 外国居住親族:国外に居住する親族を扶養している場合に記入します。該当する人数を記入し、別紙に詳細を記載する必要があります。
3.8 署名・捺印
最後に、申告書を作成した日付と、あなたの氏名を記入し、捺印(または署名)します。日付は提出日ではなく、作成日を記入するのが一般的です。
4. 扶養控除等(異動)申告書の提出方法と提出期限
4.1 提出方法
扶養控除等(異動)申告書は、通常、勤務先の人事部や総務部など、指定された部署に提出します。提出方法は、勤務先によって異なる場合がありますが、一般的には紙で提出することが多いです。電子データでの提出が可能な場合もありますので、勤務先の指示に従ってください。
4.2 提出期限
扶養控除等(異動)申告書の提出期限は、原則として、その年の最初に給与の支払いを受ける日の前日までです。しかし、実務上は、年末調整の時期に合わせて、勤務先から提出期限が指定されることがほとんどです。勤務先からの指示に従い、期限内に提出するようにしましょう。
5. 扶養控除等(異動)申告書の注意点
- 正確な情報の記入:氏名、住所、マイナンバー、所得金額など、各項目を正確に記入することが重要です。誤った情報を記入すると、税金の計算に誤りが生じる可能性があります。
- 所得の見積額は慎重に:配偶者や扶養親族の所得見積額は、年間の収入見込みに基づいて正確に計算しましょう。過少申告や過大申告は、後々修正が必要になる場合があります。
- 異動があった場合は速やかに申告:年の中途で扶養親族の状況や控除の種類に変更があった場合は、速やかに勤務先に異動申告書を提出しましょう。
- 不明な点は勤務先や税務署に相談:書き方や内容について不明な点がある場合は、自己判断せずに、勤務先の人事担当者や税務署に相談しましょう。税務署では、電話相談や窓口相談も受け付けています。
- 最新の様式を使用する:税法改正などにより、申告書の様式が変更されることがあります。必ず最新の様式を使用するようにしましょう。国税庁のウェブサイトから最新の様式をダウンロードできます。
6. 異動があった場合の対応
扶養控除等(異動)申告書は、一度提出した後でも、扶養親族の状況などに異動があった場合は、再度提出する必要があります。異動があった場合の対応について解説します。
6.1 年末調整前の場合
年末調整を行う前に異動があった場合は、速やかに勤務先に異動申告書を提出します。例えば、年の中途で子供が生まれた、扶養していた親族が亡くなった、配偶者の所得が大きく変動したなどの場合です。勤務先に異動内容を伝え、新しい申告書を提出しましょう。
6.2 年末調整後の場合
年末調整が終わった後に異動があった場合は、確定申告を行う必要があります。例えば、年末調整後に扶養親族が増えた、控除の種類が変更になったなどの場合です。確定申告期間中に税務署で確定申告を行い、正しい税額を計算し直す必要があります。
6.3 異動申告書の再提出
異動申告書を再提出する際は、申告書の上部に「異動」と朱書きで記載すると、勤務先での処理がスムーズになります。また、変更があった項目のみを修正するのではなく、申告書全体を改めて正確に記入して提出することが望ましいです。
7. まとめ
扶養控除等(異動)申告書は、所得税や住民税の計算において非常に重要な書類です。正しく理解し、適切に記入・提出することで、税負担を軽減することができます。この記事を参考に、扶養控除等(異動)申告書の作成と提出をスムーズに行い、税金に関する不安を解消しましょう。
ご不明な点があれば、税務署や税理士などの専門家にご相談いただくことをお勧めします。
【免責事項】この記事は、一般的な情報提供を目的としており、税務に関する専門的なアドバイスを提供するものではありません。個別の税務判断については、必ず税理士や税務署にご相談ください。最新の情報は、国税庁のウェブサイト等でご確認ください。